Professeurs

野村 正人 教授

nomura.jpg■研究テーマ: 19世紀フランス文学・視覚メディア論

■研究領域

 わたしが現在とくに力を入れて研究しているのは、19世紀の文学と視覚メディアの関係です。19世紀になると、産業社会に突入したフランスでは、技術の発達、教育への関心、余暇の増大などによって、ブルジョワを中心とする一般の人々を対象としたさまざまな視覚文化が発展しました。挿絵本、諷刺画、現代のバーチャルリアリティに似たパノラマ館、幻灯、写真、そして世紀末に生まれた映画と、現代に通じるメディアが続々と姿を現したのです。中でも、新聞や書物などの印刷物が、版画などの視覚的なメディアを重視するようになって、広く一般の人々にも親しみやすいものになりました。
  わたしはこれらのメディアのうちで特に、挿絵本と、政治・社会風俗を描いた諷刺版画に関心を持ち、それを研究しています。挿絵本には、文学など作品のテクストとイラストのイメージが共存しているわけですが、そのふたつの緊張関係がどのような新たな効果や意味を文学の場に生み出したかを明らかにしたいと考えています。また諷刺画では、そこに描かれたものの要素を、政治、社会風俗の歴史を参照しながら解読しています。19世紀に注目されるようになったテクストとイメージの動的な相互関係は、現代の文化を読み解くための鍵でもあるのです。

 

■私の授業

 わたしの授業は大きく二種類に分かれます。ひとつはフランス文学科の学生にフランス語の基礎を教えること。もうひとつは専門分野の授業です。現在教えている2年生向けの「基礎演習」(週に2回)では、1年ですでに学んだ基礎的な文法を確かなものにして、3,4年次の研究に使う文学的なテクストなどを読めるようにするのが目的です。比較的やさしい作品を読みながら、平行して、そこに出てくる重要な文法事項を復習したり、関連する例文を使って、文法や表現をしっかり身につけます。また、重要な表現を使ったフレーズをMP3プレイヤーなどを入れて利用し、読み、書き、聴く能力を高める実験的授業もしています。
  もうひとつの専門の授業では、3,4年ゼミでイラストレーションの歴史をフランス語で読んで、18世紀以来の文学とイラストレーションとの関係を教えています。また卒業演習という4年生向けの授業では、19世紀の文学・芸術とサーカス、道化といったサブ・カルチャーがどのような関係にあったのかを講義しています。ただ単にフランス語の文章を日本語に訳して終わりなのではなく、そこを出発点として、フランスの社会や文化のありさまに関心を広げていくことが授業の大きな目的となります。