Cursus de troisième cycle de langue et littérature françaises

指導教授の指導について :土橋友梨子(博士後期課程)

学習院大学フランス文学専攻科には、古典主義時代から現代に至るまでの幅広い時代、そして小説、詩、演劇などの、いわゆる旧来的に文学とされてきたジャンルのみではなく、映画、言語、マンガ(BD)、図像、フランス語圏文化総域など、多岐にわたる分野に関心を持ち、専門とされている教授陣がズラリと勢揃いしています。

そういったわけで、ほんの一部の紹介になってしまうのですが、学生の側も、古典主義時代の劇作家であるコルネイユ、19世紀にバルザックと並んで一世を風靡した新聞小説家のウジェーヌ・シュー、BDを中心とした日仏漫画の研究、そして現在もウリポの一員として作品を発表し続けている詩人のジャック・ルーボーなど、さまざまな時代や分野の作家・作品を自らの研究対象としています(その他の研究については、フランス語圏文化学科のHPも参照してください)。このようにして、学習院大学フランス文学専攻科では、非常にバラエティに富んだ研究が毎年活発に行われているのです。

私自身は昨年の一月に学習院大学に修士論文を提出し、現在、同大学の博士後期課程に在籍しながら、協定留学生(協定留学については「留学」の頁を参照してください)として、フランスのパリ第七大学に留学しています。私が研究しているのは、18世紀の作家であるジャン=ジャック・ルソーで、数多くのルソー作品の中でも、とりわけ『告白』や『対話』、そして『夢想』といった自伝作品に対して強い関心を持っています。

とはいえ、ルソーを専門としている教授の指導のもとで修士論文を準備したのではありませんでした。学習院大学大学院では、院生は三人の先生方(第一・第二・第三指導教授)の下で指導・論文審査を受けます。そして私の場合は、三人の指導教授のいずれもルソーの専門家ではなかったのです。

しかし最初にも述べたように、学習院大学の先生方もまた、多彩な分野に造詣の深い方ばかりです。そのため、教授の専門と学生の専門が必ずしも一致していなかったとしても、修士論文を準備するためにはほとんど問題はないといえます。なぜならば、研究を進め、修士論文を執筆する際に必要な知識、基本となる参考文献等に関して、専門家ではないにもかかわらず、教授陣は当然のごとく網羅していらっしゃるからです。「この分野は私の専門ではないからなぁ」とおっしゃいつつ、的確な指示を出してくださる先生方に、学生はただただ目を見張るばかりです。私の場合を例に挙げましたが、実際は、指導教授と自分の専門がまったく同じであるという学生の方がわずかであることも付け加えたいと思います。また、こうした指導の利点というのは、自分の専門にばかり目を向けてしまいがちな学生の狭い視野に刺激を与え、幅広い視野を持たせるのに非常に適しているといえます。後述しますが、もしも自らの専門分野についてより厳密に学びたい、より専門的な指導を受けたいという意思があるのならば、他大学の授業に参加することも可能なのですから。

通常、指導教授からの論文指導を受ける際は、前もって先生にご連絡をし、主にフランス文学科の研究室か、先生方のお部屋で面会をさせていただきます。定期的な指導に関しては、年に一度、フランス文学科のすべての教授と他の院生の前で論文の計画を発表する中間発表会が催されます。どちらの場合においても、まったくのノープランで先生に助言をいただこうとしても意味がありません。事前に準備し、ある程度の具体的な疑問点をそろえて、相談をすることが重要になります。そうすることで、先生方はそれらの問題点を踏まえ、学生のプランをより論理的に、より説得力をもったものに今後なるよう、丁寧に指示してくださいます。時には非常に厳しいご指摘を受ける時もあり、日々の指導や中間発表会の直後に落ち込むこともありますが…。もちろん自分の指導教授以外の先生方に相談をすることも常に可能で、先生方もそれに対して懇切丁寧に受け答えしてくださいます。

先生方からの論文指導の程度・頻度は、主に学生の自主性に委ねられているといえますが、時として教授の方々の指導は研究室だけにとどまるものではありません。実際にあったこととしては、ある日廊下で指導教授とすれ違った際に、突然「あ、「○○○」については『□□□』を読みなさいね!」や「あぁ、そういえば△△△についてはあれに詳しい説明が書かれていたから…」とふと思い出したかのように本のタイトルや先行研究に関連する事柄についてお話を始め、学生がメモをしようとしている最中に瞬く間に去っていたこと、またある時には学内で「これ貸してあげるよ!」と言って突然研究書を渡してくださることもあります。このようにお茶目な一面も持ち合わせる素敵な先生方が学習院大学には多くいらっしゃいます。このような事が起きるのは、もちろん学生が先生のところへ自発的に相談に行く機会よりは少ないですが、先生方の側でもまた、学生の一人一人の研究に興味を持ち、そして内心では常に気にかけていてくださっている証だといえるでしょう。

 もちろん、学生の専門テーマによっては、学習院大学の中だけにとどまらず、他の大学に所属していらっしゃる教授の指導を仰ぐ必要が出てくる場合もあると思います。この点では、本専攻では早稲田大学、慶応義塾大学、青山学院大学、白百合女子大学、上智大学、獨協大学、武蔵大学、明治学院大学、明治大学との単位互換制度が設けられています。そして上記の協定校以外にも、単位とは関係なく自らの研究に対する専門知識を深めたいと考えているのならば、その他の大学の授業や研究会、シンポジウムなどに参加するなど、より広い規模で活動を進めることもできるのです。実際に、私自身も学部の授業の担当なさっている他大学のルソーの専門家の講師の先生に質問をさせていただくことも多々あります。また、より専門的な知識を得るために、他大学の授業に赴き、その大学の先生にお話を伺うこともあります。もちろん、その反対も然りで、他大学から学習院大学にいらっしゃっている大学院生も少なくありません。そうした学生とお互いに交流を持って、研究方法についての情報を得て、相談し合うことができるのも、大学院ならではの醍醐味ではないでしょうか。

これまで述べてきたように、大学院での研究生活は、さまざまな種類の、そしてさまざまな規模での活動と交流によって成り立っています。しかし、いずれの場合においても、この大学院の数年間は、自分の行動力や、研究に対する自主性によって、大きく左右されるものであるということに違いはありません。思い切っていろいろなことを試してみようという時には、常に私たちのことを気にかけていてくださる先生方が、強固に支えてくださるでしょう。

 

平成23年4月